THSについて

THSとは?

Toyota Hybrid System の略称でトヨタのハイブリッドシステムのことです。諸元表では「電気式無段変速機」となっていますが CVT のような無段変速機とは仕組みが大きく異なっています

仕組みを理解すると非常にうまく作られており、低燃費という観点では世界中で最も優れているハイブリッドシステムなんじゃないかと思えるほどです。

THSの歴史

THSの歴史は1997年に登場した初代プリウスにさかのぼります。当時の燃費は28.0km/L(10・15モード)、当時1500ccカローラで17.6km/L(10・15モード)ですから圧倒的な燃費です。(1.5 SEサルーン 5速MT 8代目カローラ)

時代は進み2003年の2代目プリウスでは THS-II となり、2代目のハイブリッドシステムとなりました。もっとも普及しているトヨタのハイブリッドシステムは、この2世代目です。

この THS-II をベースに小型化を進めた「リダクション機構付きTHS-II(2006年)」、発電用のモーターを駆動用にも使うPHV専用の「デュアルモータードライブ(2016年)」、エンジンを低速でも効率よく使えるようにした「マルチステージハイブリッド(2018年)」など進化を続けてきました。

どういう仕組み?

具体的な仕組みに関しては次の章「THS-II」で解説しますが、簡単に図にすると以下の通りです。

THS-IIの概略図

こちらは「リダクション機構付きTHS-II」の図ですが、特徴的なのがエンジンと発電用モーターがプラネタリーギア(遊星歯車機構)で動力を分配しているところです。

プラネタリーギアは簡単に説明すると軽い方にトルクが分配される仕組みとなっていて、ステップATのトランスミッションに使用されたり前後左右のタイヤの回転差を抑えるためのデフギアにも使用されています。軽いほうに動力が伝わるので、デフギアに使用する際はスリップすると進まなくなる(スリップする方に動力が分配される)ので、制限をかけたリミテッドスリップデフ(LSD)で使われることが多いかもしれません。

つまりプラネタリーギアの特徴を使って発進時は発電用モーターにトルクが分配され駆動用モーターを使って発進します。動き出していけばタイヤ側の負荷も軽くなってきますので、徐々にタイヤの方へ動力が分配されエンジン直結に近くなるという仕組みです。

ちなみにエンジン直後にあるクラッチ(インプットダンパー)は、エンジン始動時や停止時のショックを緩和するため設けられているため基本的には繋がったままです。ニュートラルはこのクラッチを使用しておらず、発電用モーターの通電を切ることで負荷0にしてタイヤ側に動力が流れないようにしています(デフギアでスリップしているのと同じ状態)。

一応補足ですが、発電用モーターは通電すると負荷がかかり通電を切ると空回りする特徴があります。モーターって発電量を自由自在に操れるうえ、発電した分だけトルクが取られる特徴があるので万能ですよね。